新居



高橋 男
鈴木 男


大きい声出します。
ハイテンションで。
大騒ぎしましょう。
言い回しや含み笑いのアドリブはどんどんどうぞ。
所要時間10分前後です。





高橋:ピンポーン ・・・・・・ピンポーン! ピンポン! ピンポーン!

鈴木:お。この声は。

一拍

鈴木:おお、来たか。

高橋:よっ、久しぶりだな。
   いやあ、鈴木が一人暮らし始めるって聞いたら遊びに行きたくてさ!

鈴木:ああ、それはまあいい。
   でも、さすがにもうピンポンを口で言うのはやめてほしいんだけど。

高橋:え? なんで?

鈴木:なんでって、やっぱお隣さんとかいるし。実家は田舎だったからいいけどさ。

高橋:え! じゃあこれからどうやって来たこと教えればいいんだよ!

鈴木:呼び鈴があるだろ。

高橋:それじゃあ俺が来た! ってのがすぐに分からないだろ?

鈴木:いや別に第一声から知らせなくてもいいよ。ドア開ければ分かるんだし。

高橋:それじゃあ遅いだろ! ピンポン鳴った時には、もう戦いは始まってるんだぜ!?

鈴木:俺の部屋には戦いをしにくる奴なんかこねーよ。

高橋:そうなのか。

鈴木:そうだよ。――――まあいいや、とりあえず中入れよ。

高橋:おう。

一拍

高橋:へぇー、いいトコじゃん。……ここが俺たちの城かぁ。

鈴木:いやいやいや俺の城だよ。なんで二人で住むみたいになってんだよ。

高橋:結構広いじゃーん。何帖?

鈴木:見ての通り、ワンルームで和室だけど、20帖だ。

高橋:うっわマジかよ! 結構高いんじゃないのそれ!?

鈴木:いや、そうでもないんだなあ。なんと、家賃一万だ!!

高橋:うわやっす! やっ……――え?

鈴木:だろぉー? いやーこんないい物件があるなんてなぁ。

高橋:いやいやいやいや、ちょっと待て、今いくらっつったお前。一万?

鈴木:おう、一万。

高橋:月?

鈴木:月。格安だよな。

高橋:ああ、確かに格安だけどよ。20帖で家賃一万って、安すぎないか?

鈴木:だろ? 幽霊出るらしいからな。

高橋:おおっと。

鈴木:ワンルームで畳だけど、一人暮らしには充分だよ。

高橋:うんそうだな、でもお前今すげーことサラッと言ったな。
   ――なに? 幽霊でんの?

鈴木:ああ、らしいよ。聞いた話だけど。

高橋:誰に?

鈴木:不動産屋。

高橋:ああー、そうなんだ……。やっぱりかぁ。

鈴木:え、なにその訳知りな感じ。

高橋:ああ、言ってなかったっけ? 俺、分かっちゃうんだよねえ、そういうの……。
   入った時から違和感はあったんだよな。――ここ、いるぜ……。

鈴木:いるって、何が?

高橋:……こ・れ……。(うらめしや〜のポーズ)

鈴木:え? なに、両手でポスターを見せ付けてる人?

高橋:ちげーよ! タモリか俺は!

鈴木:おい!! ――……さんを付けろよ。

高橋:あ、ああ、ごめんタモリさん、タモリさんな。

鈴木:……ちっ。気を付けろよ。

高橋:ってどうでもいいよ! とにかく! ここにはいるんだよ! 幽霊が!

鈴木:幽霊? ま、マジで? ……嘘だろ!!!!!!!

高橋:うお、びっくりした! なんでそんなに驚いてんだよ!
   お前は不動産屋から聞いてんだろうが!

鈴木:いや、改めて言われると驚いちゃって。信じてなかったし。

高橋:信じてないも何も家賃一万の時点でおかしいと思えよ。

鈴木:いやでも困るよ。マジでぇー? 幽霊いんのぉー?

高橋:(ためいき)ったく。しょーがねーな。……なんとかしてやるよ。

鈴木:え、なに、なんとかできんの?

高橋:ああ。そんなに強い幽霊でもないみたいだ。
   俺にも追っ払うことぐらいはできるかもしれない。

鈴木:すげーなお前。小学校からの馴染みだけど、そんなの初めて知ったぜ……。

高橋:言ってなかったっけ? まあ見てな。

鈴木:あ、ああ……。

高橋:いくぜ……――ふぅぅぅぅぅ(息吹)
   ……――ふんッッ! はぁぁぁぁああああぁーーー、
   げつ!! か!! すい!! もく!! きn…

鈴木:ちょ、ちょちょちょちょっと待って!

高橋:なんだよ! 邪魔すんなよ!

鈴木:いや、いやちょっと、今のでいいの?

高橋:なにが!?

鈴木:いや、なんか、
   リンピョウトウシャとかは聞いたことあるけど、曜日数えてなかった!?

高橋:なに馬鹿言ってんだ!?
   あ、くそ、お前が中途半端なとこで止めるから、
   幽霊めちゃめちゃ怒ってんじゃねぇか!!

鈴木:そ、そうなのか!? ごめん!

高橋:く! 離れてろ! ――ぐは! うぐ!! ぶほぁ!!!

鈴木:す、すげぇ。高橋が見えない何かに殴られている!! ずいぶん肉体派な幽霊だな。

高橋:ぐふ! ……ぐあ! う! ……んぐ! うあ! ぶほ! ……ぐ! ぐはぁ!

鈴木:お、おお、結構耐えるな高橋! 

高橋:う、ま、まずい!! うあああぁぁぁ!!!

鈴木:た、高橋!? おい! 高橋! 大丈夫か!!

高橋:――くくくく……。

鈴木:た、高橋?

高橋:――くくくく……。やっと、やっと手に入れたぞ。生身の肉体を……。

鈴木:そんな。まさか、幽霊が高橋にのりうつったっていうのか!? 

高橋:この体を手に入れたからには……くくくく。

鈴木:こ、この野郎! 高橋の体で何をしようってんだ!!

高橋:この体のまま、ここに住む。

鈴木:な、なんだって!?

高橋:ここに住むのだ。

鈴木:そ、それは困る! すごい困る!

高橋:駄目だ。お前が何と言おうと、わたしはここに住むぞ……。
   お前は私と寝食を共にし、落ち込んだ時には慰め合うのだぁ……ぐふははははは。

鈴木:やめろ!! そんなことはさせない!!
   出ていけ!! 高橋の体から出ていけぇぇ!!!

高橋:――ハッ!! お、俺はいったい……。

鈴木:高橋? 高橋なのか?

高橋:あ、ああ。ありがとう。お前のおかげで助かったみたいだ。

鈴木:そ、そうなのか!?

高橋:でもまだ油断はできない。この部屋にはまだ幽霊がいる。今度こそ追っ払ってやるぜ。

鈴木:ああ、頼む。もうお前だけが頼りだ!

高橋:まかせろ! いくぜ……。ふぅぅぅぅぅ(息吹)
   ……――――ふんッ!
   はぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあああーーーーひふーへほぉぉぉーー!!!!

鈴木:ちょ、ちょちょちょちょっと待って!

高橋:なんだよ! またか!

鈴木:え、なに? 今のでいいの!?
   ……後半なんか、バイキンマンみたいになってなかった?

高橋:素人は黙ってろって!! こういうもんなんだよ!

鈴木:あ、ご、ごめん。悪かった。

高橋:よーし、幽霊もだいぶ弱ってきたな。あとは仕上げだ。

鈴木:マジで!? 

高橋:ああ、あとはこの日本酒を……んぐ、んぐ、んぐ……ブゥーー!!!

鈴木:うわ!! きたね!! 馬鹿! 引っ越したばっかだぞ!

高橋:仕方ないことなんだよ! ほら見ろ。幽霊が壁のシミになったぞ。

鈴木:こ、これはこれで嫌だな。追っ払えたっていうのかこれ。

高橋:ああ、なんとかなったみたいだ。ふう。思いのほか手こずったな。

鈴木:そうだな。……でもありがとう。お前のおかげで助かったよ。

高橋:いや……今回は追っ払っただけだ。まだ安心はできない。

鈴木:なんだって? じゃあまた来るかもしれないってことか?

高橋:ああ。そういう、ことだな。

鈴木:そ、そんな! どうすれば……。

高橋:安心しろ。

鈴木:え? 何か策があるのか?

高橋:ああ。……俺も、今日からここに住む!!

鈴木:帰れ!!




おしまい